おうちでタコスやブリトー、ケサディーヤを作ってみたいと思ったとき、最初に気になるのが「トルティーヤプレス」ではないでしょうか。
ネットを見ると「フライパンの底や鍋で代用できる」という情報もよく見かけます。実は私も30年以上前、専用の道具が手元になかった頃に、フライパンや重い鍋を押し当てて作ろうとしたことがありました。ですが、どれだけ力を入れて伸ばしてもすぐに生地が縮んで戻ってしまい、お店のような薄い生地をきれいに作ることはできませんでした。せっかく挑戦したのに、うまく伸ばせなくてあきらめてしまうのはとてももったいないですよね。
だからといって、いざ専用のプレスを買おうとすると、木製やアルミ製、鋳鉄(ちゅうてつ)製など色々な種類があって迷ってしまいます。「使った後のお手入れが面倒そう」「錆びてしまうのが心配」と、購入をためらっている方も多いと思います。
この記事では、それぞれの素材にある特徴やちょっとした落とし穴、そして本場でも愛されている「ヴィクトリア」のプレスについて分かりやすくお伝えします。
本体を汚さず、錆びさせないお手入れ不要の裏ワザもご紹介しますので、道具選びで失敗したくない方はぜひ参考にしてみてください。
トルティーヤプレスはフライパンの底で代用できる?おすすめしない理由
ネットでトルティーヤの作り方を調べると、「クッキングシートに生地を挟んで、平らなフライパンや鍋の底で上から体重をかけて押し潰せば大丈夫」というアイデアをよく見かけます。
手軽に試せそうで魅力的に思えますが、実はこれ、実際にやってみるととても難しいんです。
トルティーヤの生地には、大きく分けて小麦粉で作る「フラワー」と、コーンの粉(マサ)で作る「コーン」の2種類があります。このどちらを作るにしても、人の力でフライパンを押し付けるだけでは、きれいに伸びない理由があります。
小麦粉生地(フラワー)の場合:ゴムのように縮んで戻ってしまう
ブリトーやケサディーヤによく使われる小麦粉の生地には、こねることで「グルテン」という強い弾力が生まれます。 この弾力はゴムのようなものなので、フライパンの底で上から一時的にギューッと力を込めて押し広げても、手を離した瞬間に「きゅっ」と縮んで厚みが出てしまうんです。お店で見かけるような、具材をやさしく包めるしなやかな薄さにするには、人の腕の力だけではどうしても限界があります。
コーン生地(マサ)の場合:端からボロボロに割れてしまう
一方、本場のタコスに使われるコーン生地には、小麦粉のような粘り気(グルテン)が一切ありません。水分を含んだ粉がただ集まっているような状態なので、非常に脆くてデリケートです。 上から「均一に、かつ一瞬で強い圧力」をかけてあげないと、力が逃げた部分からボロボロとひび割れて、きれいな円形になりません。フライパンの底で人の体重を乗せるくらいでは、どうしても力が斜めに逃げてしまい、うまく成形できないんです。
このように、どちらの生地も「人の力任せ」で薄く伸ばすのは至難の業です。厚みがバラバラになってしまうと、焼いたときに火の通りが偏り、ゴワゴワとした食感になってしまいます。
だからこそ、テコの原理と道具そのものの重みを使って、一瞬で均一に薄く伸ばしてくれる「専用のトルティーヤプレス」が必要になります。
トルティーヤプレスの種類と特徴|木製・アルミ製・鋳鉄製の違い
ネットで「トルティーヤプレス」と検索してみると、様々な素材のものが見つかります。 特に初めて探すときは、「見た目がおしゃれなものがいいな」「軽くて扱いやすそうなものが楽かな」と、デザインや扱いやすさを重視して選びたくなるものです。
ですが、それぞれに使い心地やお手入れの特徴があります。買ってから「イメージと違った」とならないために、よく見かける素材の特徴を分かりやすく解説しますね。
木製のプレス:見た目は可愛いけれど「油分」の扱いに注意
ナチュラルな雰囲気で、キッチンに置いておくだけでも素敵な木製のプレス。コーン粉(マサ)の生地だけを伸ばすのであれば問題ないことも多いのですが、小麦粉を使った「フラワートルティーヤ」も作りたいと考えている方は注意が必要です。
ブリトーやケサディーヤに使う小麦粉の生地には、しなやかさを出すためにラードや植物油などの油分を練り込みます。そのため、木製のプレスでギュッと挟むと、どうしても木に油分が染み込んでしまうんです。木製品は洗剤でガシガシと丸洗いをすることが難しいため、何度も使っているうちに油が酸化してニオイが気になったり、カビの原因になったりすることがあります。衛生的に長く保つのが少し難しいのが、木製を選ぶ際に気をつけておきたいポイントです。
アルミ製のプレス:軽さが裏目に出て、腕が疲れてしまう

「重い道具は出し入れが面倒になりそうだから、軽いアルミ製にしよう」と考える方も少なくありません。しかし、トルティーヤプレスにとって「軽いこと」は、実は使いにくさにつながってしまいます。
トルティーヤの生地を均一に、しっかり薄く伸ばすためには、それなりの強い圧力が必要です。器具自体に十分な重みがあれば、ハンドルのレバーを下ろすだけで、その重みを利用して楽に生地が伸びてくれます。 ところが、本体が軽いアルミ製の場合、自分の腕の力だけでギューッと力任せに押し潰さなければなりません。何枚も続けて作っていると想像以上に腕が疲れてしまいますし、均一に力をかけるのが難しく、生地の厚みがバラバラになってしまうこともあります。
鋳鉄(ちゅうてつ)製のプレス:重みは最高だけれどお手入れが心配
本場メキシコやプロの現場でも広く使われているのが、しっかりとした鉄で作られた鋳鉄製のプレスです。 ずっしりとした重みがあるため、力を入れなくてもハンドルを下ろして軽くプレスするだけで、生地が吸い付くように平らによく伸びてくれます。破れやすいコーン生地も、縮みやすい小麦粉生地も、どちらもきれいに伸ばせるのが最大のメリットです。
ただ、鉄製品であるため「水洗いした後にしっかり乾かして油を塗らないと錆びてしまう」というお手入れの手間があります。このメンテナンスが億劫で、購入を迷ってしまう方がとても多いのがこの素材です。
おすすめのトルティーヤプレスは?私が鋳鉄製のヴィクトリアを選ぶ理由

色々な素材や道具の特徴をお話ししてきましたが、これから新しく用意するのであれば、やはりおすすめしたいのが鋳鉄(ちゅうてつ)製の「ヴィクトリア(Victoria)」です。
ヴィクトリアは、本場の中南米で80年以上も愛され続けている老舗のブランドです。
実は私も、この道具に行き着くまでにはたくさんの遠回りをしてきました。30年ほど前にフライパンや鍋の底で挫折した後、アルミ製のプレスを試したこともありますし、自動で挟んで熱が入る電気式のプレスを使ってみたこともあります。ですが、アルミ製は軽すぎてどうしても生地が厚くなってしまい、電気式はプレスする力が弱く、なかなか理想のトルティーヤになりませんでした。
そうして色々な道具を試した末に出会ったのが、このヴィクトリアのプレスです。使い心地が本当に素晴らしく、もう5年以上愛用しています。
ヴィクトリアをおすすめしたい一番の理由は、その絶妙な「重さ」と「作りの確かさ」にあります。
丸めた生地をセットしてハンドルをパタンと下ろして軽くプレスするだけで、器具そのものの重みで生地がすっと平らに広がってくれます。小麦粉の生地も、コーンの生地も、余計な力を入れずに、端まで均一にきれいに伸ばせるのが本当に楽なんです。
ヴィクトリアのトルティーヤプレスを汚さない工夫|サビやお手入れの心配を解決
「でも、鋳鉄製のプレスって、手入れをしないと錆びてしまうんじゃ……」と、手間が気になりますよね。
実は、あの面倒な丸洗いをしなくても、この頑丈なヴィクトリアのプレスをいつでも手軽に使うための工夫があるんです。
プレスンシールと便利シートの合わせ技
私が実際にやっているのは、本体の生地が当たる部分をあらかじめ「プレスンシール(密着性の高いラッピングフィルム)」でピッチリと覆ってしまう方法です。

そして、実際に生地を置いて挟むときには、毎回「キッチン便利シート(クッキングシートなど)」に生地を挟んでからプレスします。

こうすることで、本体に生地の水分や小麦粉の油分が直接つくのを防ぐことができます。使い終わったらシートを捨てて、フィルムをサッと整えるだけなので、毎回の面倒なお手入れの必要がなくなります。
正直、一部は錆びることもあります。
ただ、どれだけフィルムで覆って大切に使っていても、やはりそこは鋳鉄製。空気中の湿気などもあり、長く使っているとどうしても一部にサビが出てしまうことはあります。実は、私が5年愛用しているトルティーヤプレスも、一部に少しサビが出ています。

ですが、毎回お肉を焼く鉄鍋とは違い、直接生地が触れないようにシートを挟んで使う道具なので、少しのサビなら神経質になる必要はありません。
この工夫をしてサビを最小限に抑えながら、使いたいときにサッと取り出して使う方が、おうちでのタコスライフがずっと身近で楽しいものになりますよ。
まとめ|お気に入りのトルティーヤプレスで楽しいタコスライフを

今回は、トルティーヤプレスの素材ごとの違いや、おすすめの選び方についてお話ししました。
実は、私のお店「WRAP!WRAP!」がWebで販売しているトルティーヤは、今回ご紹介したヴィクトリアではなく、専用の機器を使って作っています。やはり、商品としてたくさんの方にお届けするためには、それなりの専門の道具が必要だからです。
ですが、プライベートで家でタコスやブリトーを楽しむときには、このヴィクトリアのプレスをもう5年も愛用しています。家庭用としてこれほど頼もしくて、きれいに生地が伸びる道具は他にないと思っているからです。
「鉄製はサビやお手入れが面倒そう」という心配も、先ほどお伝えしたプレスンシールと便利シートの合わせ技を使えば、驚くほど手軽になります。一部に少しサビが出ることはあっても、直接生地が触れないように工夫すれば、長く相棒として活躍してくれますよ。
道具さえ決まってしまえば、あとはお好みの粉を用意して、ギュッとプレスして焼くだけです。焼きたての自家製トルティーヤのおいしさは、一度味わうと本当に忘れられなくなります。
ぜひ、あなたにぴったりのトルティーヤプレスを見つけて、おうちで自由で楽しいタコスライフを始めてみてくださいね。そして、プロが作るこだわりの味を自宅で手軽に楽しみたいときは、ウェブストアで販売中の「WRAP!WRAP!」のトルティーヤもぜひ試してみてください。
\ 1枚1枚心を込めて手作り /




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